わたしの問いかけに、榛名くんは無言のまま、何も答えてはくれない。
返事が気になり、顔を少しあげると、
気まずそうな顔をしていた。
やっぱり、聞いちゃいけないことだったのかもしれない。
すんなり答えが出てこないということは、
聞かれては困る相手といたに違いない。
聞いて失敗したかもしれない。
わたしはどんな答えを求めて榛名くんに、
こんなことを聞いたんだろう……？
そんなことすら、自分でわからずに聞いてしまったことに今さら後悔する。
すると、この沈黙を破ったのは、
榛名くんのスマホの電子音だった。
ずっと鳴っているので、おそらく電話の着信。
榛名くんは何も言わず、わたしから少し離れて、ズボンのポケットに入っているスマホを取り出して画面を確認した。
着信画面に表示された、相手の名前が見えてしまった。
