「もしかしたら、雛乃のことがずっと好きで誰とも付き合ってないのかもよ?」
ま、まさか……。
ただ、榛名くんの理想が高いだけじゃ?
もしくは女の子に、大して興味がないだけじゃ?
自分ひとりが自由に過ごせれば、周りはどうでもいいとか思ってそうだもん。
「こりゃ、間違いなく雛乃に本気なんだろうねぇ。しかも独占欲ってやつが強いと見た」
「え?」
「雛乃まさか気づいてないの?」
「え、何が?」
杏奈が何やらわたしの首筋を指さして、
呆れ気味に言ってきた。
「首筋ちゃんと見なよ。鏡貸してあげるから」
杏奈がスカートのポケットに入れていた小さい鏡を渡してきた。
とりあえず、鏡で自分の首元を確認した。
すると、びっくり。
「あ、あれ……これなんだろ?」
首筋に、くっきり紅い跡。
あれ、こんなのあったっけ?
今まで気づくことなく生活していた。

