「う、うそ……っ」


「あー……、なんか僕すごいカッコ悪いこと言ってる」



自分の前髪を、くしゃっとかきあげて、照れたのを隠そうとしている様子から、とても嘘を言っているとは思えない。



「ほんとは言うつもりなかったんだけどね。雛乃のお母さんにも言わないでくださいって口止めしといたのに、自分で言うことになるとはね」


ハハッと、軽く笑っていた。



「雛乃のお父さんの単身赴任の話あったじゃん。あれ、ほんとは家族みんなで行く予定だったらしいんだよね」


「え……そ、そうなの?」



「そー。さすがに1人娘を家に置いていくわけにはいかないって。だから、それがチャンスだと思ったから、同居のことを思い切って頼んだ」



まさか……、榛名くんがそこまで
わたしのことを想って、動いていたなんて全く知らなかった。