……一瞬、思考が完全に停止した。
榛名くんから言われた、今の言葉は、
妙に鮮明に聞こえて、耳に残る。
さっきまで、うるさいくらい動いていた心臓の音が聞こえなくなってしまった。
それることなく、見つめられて、
絡み合う視線に、身体が動かない。
たぶん……
数秒間、
わたしは、息をしていなかった。
まるで、今だけ時が止まってしまったように、わたしの中の何もかもが停止した。
息が苦しくなって、ハッと呼吸が戻った。
同時に、停止していたはずの全てが、狂ったように動き出す。
「いま……好きって……」
確認するように口にすると、榛名くんは、
はっきりわたしに言った。
「雛乃のこと本気で好き」
これで、わたしの頭は一気に真っ白になった。

