「……どっち?」
「わ、わたしに聞かないで……っ。わ、わからないの……っ」
自分で自分の気持ちがわからないなんて、おかしな話だと思う。
だけど、ほんとにわからないから、これ以上答えを求めてこないでほしい。
「ふっ……じゃあ、少しだけ……」
ゆっくりと、榛名くんの綺麗な顔が近づいてきて、思わずギュッと目を閉じる。
すると、頬に柔らかい感触が触れた。
軽くチュッとリップ音が鳴って、目を開けた。
「ほんとは、ここにしたかったけど我慢したんだから褒めて」
そう言いながら、わたしの唇を指でゆっくりなぞってきた。
「あんま楓くんと仲良くすると、今度は抑えないよ」
とても、ふざけて言っているようには見えなかった。
だから。
頭の中に、ひとつだけ浮かんだことを榛名くんに聞いてみる。

