「早くしないと僕の口の中で溶けちゃうよ?」


この変態はまさか自分が食べてるやつを食べさせようとしてるのか!?


「い、いるわけないでしょ!」

「食べたがってんのはそっちじゃん」


「勝手に食べたのはそっちでしょ!」

「うん、だからあげるよ」



急に声のトーンが低くなって。

甘い甘い、イチゴの匂いに包まれて。



「少しだけ口開けて」


そんな言葉が聞こえてきたときは、もう遅くて。


目の前の榛名くんの整った顔が少しだけ傾いて


グッと唇に押し付けられた柔らかい感触。



一瞬の出来事で、何が起こってるのか数秒理解することができなくて、ピシッと固まる。

思考が停止寸前……。


そんな状態だっていうのに、気づいたら、口の中いっぱいにイチゴの味が広がっていた。