今朝は強がって、いないほうがいいだなんて言っていたけれど。
杏奈の言っていた通りだ。
いなかったらいなかったで、とてもさびしく感じる。
榛名くんがいつも一緒にいてくれることは、当たり前のことじゃない。
なんだかんだ、榛名くんとの生活に慣れている自分がいた。
すると、玄関のほうからガタッと音がした。
座っていたソファから、すぐに立ち上がり、急いで玄関に向かう。
……たぶん榛名くんが帰ってきた。
そう思うと、身体が動いていた。
リビングの扉を開けて、玄関のほうにいくと、ちょうど榛名くんが靴を脱いで、部屋に上がろうとしていたところだった。
「……まだ起きてたんだ」
わたしを見るなり、そう言った。
ただいまとか、
遅くなってごめんとか、
連絡しなくてごめんとか、
そういう言葉はなかった。

