「もう、ふざけないで!」
わたしがそう言うのに、スマホのカメラをこちらに向けている榛名くん。
「ちょっと、何してるの!」
「隠し撮り」
「はぁ!?」
ダメだ、わたしじゃ手に負えない……。
すると、タイミングよくお風呂のほうから軽快な音楽が聞こえてきた。
どうやら、お風呂が沸いたみたい。
「ほら、榛名くん!お風呂沸いたから、ふざけたことしてないで先に入ってきて!」
「お風呂嫌い、めんどい」
クッションを抱えたまま、お風呂場に行こうとしない。
「じゃあ、わたし先に入ってもいい?」
これじゃ、らちが明かないと思って、わたしがソファから立ち上がって、お風呂に行こうとしたら、
榛名くんがわたしの服の裾をチョンとつまんだ。
「ひなが入るなら入る」
「は……?」