ー琴乃sideー
もう少しで勝ったのに…。
すごく悔しい。
悔しくて下を向いてると、
「琴乃行くぞ」
え、蒼!?
手を引っ張られて、体育館を出た。
そのまま連れられて近くの空き教室に。
「あ、蒼?どうしたの?」
「悔しいんだろ?それぐらい分かるから」
そうぶっきらぼうに言って。
グイッと手を引っ張られたと思ったら、
すぽっと蒼の胸におさまる。
「え!?ちょっと。」
「よく頑張った!お疲れ様!」
蒼はそう言ってにかっと笑った。
そして、頭を撫でてくれて。
思わず涙腺が緩んじゃってそのまま泣いてしまった。
「も、もう大丈夫っ!ありがとう」
「そうか?よし!」
「奏斗くんも待ってる。サッカーでしょ?行って」
蒼は試合を控えてるのに…
嬉しかった。でも、私迷惑かけちゃった。
「ごめんね、蒼。迷惑だったよね」
「何馬鹿なこと言ってんの?俺にとっては試合より琴乃といる方が癒されるし、楽しいから。」
「ありがとう…///」
蒼はいつもはっきり言ってくれる。
いつも女の子と仲がいい蒼を見てると、私のことのほんとに好きなの?って思うことだっていっぱいある。
でも、いざというときは彼氏として私のことを励ましてくれる。
「戻ろっか」
「なぁ、琴乃。俺の試合見に来て」
そういった蒼の顔はちょっと赤くて、
「うん/」
私まで赤くなってしまう。
てそれから私たちは手を繋いでグラウンドまで走った。
試合にはかろうじて間に合って、蒼は試合に参加していった。
すっごくかっこよかった。
言ってやんないけど
やっぱり大好きって思った。
ー琴乃sideー 終
