「桃音…。」







琴乃が私を呼ぶ。








「なに?材料足りない?」








琴乃が何を話したいかなんて分かってる。








でも私はまた嫌いなんて言われたら、








そう思うと怖くて、グラタンの話をしてると勘違いしているふりをする。








「聞いてほしいの。お願い」







「今更何を?」







琴乃は真剣に私の目を見て言う。








「ほんとに、ごめんなさい…。」







え、琴乃が…泣いてる…?








初めて見た。琴乃が泣いたところ。








「桃音!ほんとにごめん!」








そう言って琴乃は私を抱きしめる。








「今更、なに?琴乃どうしたの?」








私は琴乃が私のために泣いてるってことが嬉しかった。








でも素直になれなくて、そっぽ向いた冷たい言葉を発する。









「私、桃音を守りたかった。雛川たちに言われたの。明日からあんたをハブるからって」








へ…?なに、それ?







私聞いてない。。








「それで、どうしたの…?」







「桃音まで巻き込むとかいいやがって、巻き込みたくなくて…。友達さえやめて、わたしがひとりになれば、桃音を、巻き込まないって言うから…。」








そんな、琴乃はだから、私に








嫌いなんて言ったの?







友だちやめようって。1人になることを覚悟で?言ってくれたの?







それなのに私…。







逃げて、琴乃の話ちゃんと聞かずに…。







「琴乃、ごめんなさいっ。気づかなっくて、ほんと、ほんとに…。」









「桃音、嫌いなんか嘘!大好きなの。桃音がいない日なんて私、耐えられないって思った。桃音が大切な人だって。桃音なら、一緒に戦ってくれるって信じれなかった。守ること自分で決めて、1人にして。ほんとにごめんなさい!」








「琴乃…。いつも、私のこと守ってくれてたよね?それなのに私、琴乃のこと守れなかった…傷つけた。気づかなくて、琴乃1人に悩ませて。ほんとに私…っ。」








「桃音、聞いて?私ね、桃音のこと足でまといとか可哀想だとか一回も思ったことない。私には、桃音が必要だから。友達として、大親友として、桃音が大好きなの。かけがえのない大切な人なの。」









「琴乃!私も、だよ?いつも、守って、くれて、ありがとおぉ!!!」








「ふふっ。桃音泣きすぎだから。」







「だってぇぇー!琴乃〜っっ!!」







久しぶりの琴乃は、涙目の顔で私のことをいつもみたいに落ち着かせてくれた。








「琴乃!大好き」







「桃音、私も」








2人で笑いあった。







2日ぶりの琴乃の笑顔は、







最高にかけがえのないものに見えた。