ー桃音sideー






「ただいま!頼まれた牛乳買ってきたよ〜」






「おかえり!桃音、いきなりなんだけどお母さんの友達がね、出張に行くことになってそれでそちらのお子さんを預かることになったのよ〜。」






「え?そうなの?女の子!?」





「男の子よ〜。てか、知らない?同じ学校だと思うんだけど。千羽 奏斗くんって。」





「は?え?」




千羽くんってあの千羽くん!?





お母さん同士仲良かったんだ。。





てか、一緒に住むってほんとに!?





「だ、ダメだよ!!いきなりすぎる!」





「なんでよ〜。桃音は、高校生1人、家に置いとけって言うの?」





「いや違うけど…。」





たしかに危ないけど、やばいよ。





そんなのバレたら私女子から殺される!






「とにかくだめ!!」






「ざーんねん!もうすぐ来るわよ〜」







いや急すぎだよっ!





私明日から生きてけるのかな…。






ピーンポーン





「ほら、出てきて!」





「はーいはい!!」



ガチャ





「あの、母さんから言われて…。は?」





「さっきぶりだね。」




千羽くんは驚いてるのがもう顔に出まくってる。




そりゃそうだよね!






私も驚くよ。





「さっきお母さんから言われたの。とりあえず入ったらどう?」





「あ、うん。お邪魔します。」




そう言ってリビングに案内する。






「あら、奏斗くんいらっしゃい!お母さんから荷物届いてるのよ。2階に運んでもらったから。桃音の部屋の隣だから、桃音案内してあげて。」





「分かったよ。こっち。」





「ここね。私隣だから。」




そう言って部屋に入ろうとしたら






千羽くんに手を掴まれた。





「?どしたの?」






「ダンボール開けんの手伝ってくれね?」





あー。大変だもんね。




「良いよ。」




そう言って部屋におじゃました。







「この話聞いてた?」






千羽くんに聞いてみる。






「いや、ひとりで住むことになってたから初耳。いつの間にダンボールに詰め込んだんだかわからねー。」





「ほんとに急だよね。」





そうやって話しながらダンボールを開けては片付ける。






「小野寺だっけ?いやじゃねーの?」






「え、何が?」






「俺と住むの。」






「あー、でも2人じゃないじゃん?」





お母さんもお父さんもいる。





これは住むというか、千羽くんの




居候だしね。




同居ではない。断じて。うん。





「?聞いてねーの?」





聞いてない?





「え、何を聞くの?」






「俺ら、明後日から2人なんだよ」






「え?」





え????







は??






あ??







ふ、た、り?






それは、私と千羽くんの2人?






「お母さん!!?」





「どうしたのよ。ドタバタしないでよ〜家が潰れちゃうじゃない。」






「これから2人ってどゆこと!?」






「あー、それはね〜私とお父さん明日からシンガポールに行くのよ!」





「シンガポール!?」




「そうそう!それでね、桃音1人はダメでしょう?だから、千羽くんに来てもらっちゃったのよ!」





???






とにかく話をまとめよう。




明後日からお父さんとお母さんは、






シンガポールに出張にいく。





お母さんはデザイナーの仕事、





お父さんはお母さんのブランド【ハニーブラッド】の店舗をシンガポールに置くための指示出しのために。





たしかに海外進出はすごいと思う。




お母さんの話によると、デザイナーの会見でモデルとしても出るらしい…。




お母さんはデザイナーの前はモデルさんだった。





スタイルもいいし、笑顔も可愛い。





だけど、モデルとして活躍してた時に服に出会ってデザイナーになったらしい。





お母さんのことは応援してるし、






海外進出は嬉しい。





でも、男の子と2人なんて無理だよ。






「桃音は料理上手だし大丈夫よ!!」





「それはそうかもだけどさ!!」






「はい!お話はここまでよ!奏斗くん呼んできて、ご飯にしましょ〜」







「ちょっと、逃げないでよ!」







コンコン







「どした?」





中から千羽くんの声。








「千羽くん、ご飯だよ。」






ガチャ





「いくか。」







「うん。」








「聞いた?」








「あ〜。明後日からのでしょ?うん。」






「なんかごめんな。」






「なんで、謝る?千羽くんは悪くないでしょ?悪いのはお母さんが決めたこと!」





「でも、2人だろ?そこまで話したこともねーし。」








「そんなのやってくしかないよ!話したことないなら話すしかないよね!」







もう考えんのやめ!






前向いて明後日からのこと考えよ!








「小野寺ってポジティブだな。」









「ポジティブって言うか、明るくいたいじゃん?楽しいって思ったら楽しくなるかもじゃん!!」







私の取り柄はとにかく明るくものを





考えれること!!






それは明るいお母さんをいつも見て、







私も笑っていたいと思うから。







「そうだな。」







「先いくね!降りてきなよ〜」







よし!お母さんの海外進出だもん!






喜ばなくちゃ!!






「お母さんおめでとうね!」






「勝手に決めてごめんね桃音。ありがとね〜帰ってきたらご馳走とお土産楽しみにしててちょうだい♪」









「期待してるね!」







ー奏斗sideー





2人になる話をLINEできいた時、






俺は拒絶されるかと思ってた。






でもあいつは普通に受け入れてくれた。






それも下心なしの明るい気持ちで。






小野寺が人気ある理由は、








かわいいもあるが、優しいからって聞いたことがある。






先生から頼まれたことは嫌な顔ひとつせずやり遂げるし、後輩にも優しいらしい。







なんか納得した。










「はやくおりてきなよ!!」






そう言って階段を降りていった小野寺。







「おもしれーやつ。」







そう思いながら階段を降りた。






ー奏斗sideー 終