「桃音がいつも笑うのも、笑い。自然に出るのも笑い。でも、1自然に出る笑いは笑顔とも言うんだよ。」
自然に出る笑い…。
「え、がお。」
「笑顔は簡単に作れるものじゃない。どれだけ自分を磨き、もがいても。作れないものなんだよ。」
おばあちゃんはそう言って、私を抱きしめてくれる。
「どうすれば、笑顔になれるの?」
「人と、楽しい、嬉しいを共感しあう。そして、その時間をかけがえのないものだと受け取れた時、笑顔になれる。」
じゃあ、おばあちゃんは、私といて、
楽しかったのかな…
「おばあちゃんは、笑顔になれた?私といて笑顔になったことがあるの?」
「おばあちゃんにとって、桃音。あなたの存在が私の希望。そして、愛する孫との時間がかけがえのない笑顔になったよ。」
おばあちゃんはそう言ってニコって笑ってくれた。
その顔は、私の大好きなおばあちゃんだ…。
その瞬間、涙が溢れた。
「おば、ちゃん。ねぇ戻ってこれない?また、抱きしめてよ。」
私は小さい子のように泣きじゃくった。
「それは、できないなぁ。おばあちゃんも桃音に会いに行きたい。でもね、桃音。あんたには、大切な人達がいるじゃろ?」
おばあちゃん以外に?
そうだ。私には…。
お母さん、お父さん、そして、
琴乃…。
「もう一度向き合ってみるのもひとつ。にげるのもひとつじゃよ。」
逃げるのも…。
「桃音、1番今そばにいてくれてる子、いるだろう?」
「ん?奏斗くんのこと?」
「そうじゃ。その子のことなにか思い出すことはないかい?おばあちゃん、あの子のことはよく知っているんじゃよ。」
「奏斗くん…奏斗…かな…と…。かなちゃん?かなちゃん!?」
「思い出したかい?奏斗くんは、昔の男の子かなちゃんじゃよ。」
