それから何個かまた乗り物に乗って、








「次ここに行こうぜ」








奏斗が指さしたのは、お化け屋敷。








「お、おお、お化け屋敷!?」








「桃音、怖いの苦手だっけ?でも作りもんだし大丈夫だろ?」







意地悪そうな顔で言う奏斗。








負けず嫌いな私はそんな顔を見ると無理ですなんて言えず、







「作り物なんて楽勝だもんっ!」







と大口をたたいてしまった。








「廃病院へ行ってらっしゃい」








とうとう私たちの番。








暗いよ!暗すぎるよ!?








「へー結構いいクオリティー」








奏斗は呑気そうに建物内を見渡す。








その時、








ガラガラガラ!!







「きゃぁ!?」








私のそばにあるドラム缶が勢いよく倒れた。








「も、も、無理だよ〜!」








死ぬ死ぬ!!これはやばいよ。








作り物なんて大丈夫だろうと思った私にはもう耐えられず…







「まだ序盤なのに。仕方ないな」








そう言うと、ひょい。








「きゃあ!?」








だ、だ、抱っこされてる!?








「ちっさいな。ほら、行くぞ」








「お、下ろして!大丈夫だから」








「こんなに震えてるくせになにが大丈夫なんだよ?無理しなくていいから」







そう言ってくれる奏斗が嬉しくて、








私は終わるまでずっと奏斗にしがみついていた。








「面白かった。無理して入ってくれてありがとな」








「なんで奏斗がお礼言うの。私なんて抱っこされてただけだし…」







なんで奏斗と気が合う性格に生まれなかったんだろうと悔やんでしまう。







「抱っこできたから全然いいよ」








そう言って、奏斗は笑ってくれるけど…








奏斗は…楽しくないよね。








「ごめ…「謝るんじゃねーよ」」








謝ろうとしたら奏斗の声でかき消された。








「言ったろ?桃音とデートしてるだけで楽しいし、一緒にいれるだけで嬉しいって」







コクコクと私は頷く。








「じゃあそんなの気にしなくていいんだよ。ほら、もうそろそろ閉園だし、ラスト何乗るか決めよう。な?」







「うん!!」








奏斗はほんとに優しいね。








「奏斗、私最後に観覧車乗りたい!」








「おういいよ」








私と奏斗は観覧車のところまで歩いていった。