「桃音、ちょっと背中に日焼け止め塗ってくれない?届かなくて」
待ってる間に日焼け止めを塗ることになった。
「いいよー!」
背中に塗ってあげて私も琴乃に塗ってもらう。
それから顔や首に塗って、パーカーを羽織る。
そうしていると、
「君たち可愛いね」
何人かの男の人が話しかけてきた。見た目は高校生くらい。
「なんですか?」
琴乃は本気で嫌そうな顔をする。
「二人で来てるのー?一緒にプールはいろーぜ?」
「嫌です連れがいるので。」
「いいじゃねーかー!ほら、」
無理やり立たされそうになる。
私は初めてのことで声が出せなかった。
「お、強気な子もいいけど震えてる子そそるわー」
そう言って、私のパーカーを取ろうとしてくる。
「ちょ、桃音に触らないで」
「桃音っていうの?桃音ちゃん脱ごーねー」
そう言って、脱がされそうになる。
こんなに気持ち悪いなんて思ったことない!
た、助けて奏斗!
そう思っていた時、
「お前何してんだよ」
どす黒い声が後ろからした。
そこいたのは、
奏斗と蒼くん。
「あ?男連れ?こんな奴らより俺らといよーぜ!」
私と琴乃を引っ張ろうとする腕を蒼くんがパシッと払い除けて、
「俺の琴乃と奏斗の桃音ちゃんに触れんじゃねーよクズども」
と、いつものトーンからは考えられない声を出す。
流石の琴乃も怖かった&驚きで震えてる。
それからグイッと奏斗の腕の中に引っ張られて、
「俺のもんに触れんじゃね消え失せろ」
と奏斗も怒ってる様子。
「ちっいくぞ」
男の子集団はどこかへ行ってしまった。
「こっち」
そのまま私は奏斗に手を引かれてついていく。
「ごめん遅くなって。怖かったよな」
そう言って、ポンポンと頭を優しく撫でてくれる。
それと同時になにかが外れて、
「怖か、った、よ~〜ぉーー!」
泣きながら奏斗に抱きついた。
「ごめん。大丈夫、なわけないな」
そう言って、ずっと抱きしめてくれる。
あの時1番に助けて欲しいって思った。
だから声を聞いた時、顔を見た時、手を引かれて抱きしめられた時、ほんとにほんとに安心して…
来てくれなかったらどうなってた?
そう考えると怖くて。
私はそのまま泣き続けていた。
