「桃音〜!奏斗くん〜!ご飯よ〜!」
下からそんな声が聞こえた。
行かなくちゃ。ホントはご飯なんていらない。食べたくない。
でも心配させちゃう。
「はーい!今行くね!」
ちゃんと答えれてる?不安になる。
笑えてる?笑うって何?もう分からない。
「桃音ついでに、奏斗くん呼んで〜」
「わかった。」
ほんとは誰の顔も見ずもう寝たい。
素直にいらないっていえば良かった。
でも心配させちゃう。
もうどうしたらいいの…?
コンコン
「千羽くんご飯だよ。」
ガチャ
「あー、わかった。」
千羽くんが部屋から出てきた。
イヤホンをしてたのだろうか?
そりゃあお母さんの声も聞こえない。
「先いくから。」
そう言って行こうとしたら、
手を引っ張られて部屋に入れられた。
「な、なに!?早く行かないとご飯覚めちゃうでしょ!」
今私ちゃんと表情作れてる?
早く行かないと心配させるでしょ。
「なぁ、小野寺…。泣いた?」
ドキっ。やっぱり笑えてない?
「どうして?泣いてないけど。」
必死に隠す。バレたらダメ。
人に心配されたらだめ。
可愛そうだなんて思われたくない。
「服、濡れてるから涙かなって。」
よく見ると服が濡れてた。
私部屋に戻ったとき、無意識に涙出てたんだ。
「さっき、お茶こぼしちゃったからその時かも!気づかなかった!」
「…そうか。」
やり過ごせた。よかった。
「先いくから。」
逃げるように部屋から出た。
「もー遅いわよ!お父さんも帰ってきてるんだから!」
「ごめんってば〜!おかえりお父さん。」
「ただいま。明日から頼んだぞ!」
「はーい!」
「お疲れ様です。」
「ありがとな!奏斗くんも明日から頼んだぞ!」
「はい。」
たわいない話をしながらご飯を食べる。
いつもなら美味しくて止まらないはしが、
今日は進まない…。
「どうしたの?桃音お腹すいてない?」
「ううんお腹すいてる!明日からお母さん達いないから味わってるんだよ〜!」
「可愛い事言ってくれるわね♪」
それから私はお腹にご飯を詰め込んだ。
吐きそうだった。もう無理だって、
体が悲鳴をあげてた。でも、
食べなきゃ。その一心で食べ続けた。
「今日はお母さんがかたづけするわ!お風呂入って寝ちゃいなさい!」
「え、私がするよ?」
お母さんが自分からするって言うなんて珍しい…。いつもは私なのに。
「明日からいないから2人にしてもらわないといけないのよ?だから、今日はするわ〜」
「わかった!任せたよ!」
お風呂に入って歯磨きして、
私はすぐに部屋に戻った。
ただはやく1人になりたくて…。
そう思ってベッドに入ると疲れのせいかすぐに寝てしまった。
