「どうしたの?」
ひと目のつかない場所まできた私たち。
「あの日の返事、聞きたくてね。まぁ振られるのは分かってる。小野寺さん、千羽なんてやめてよ」
「なんでそんなに奏斗と私が付き合うことを毛嫌いするの?」
「そうだね、確かに小野寺さんがほかの男ともう付き合ってるって言うなら諦めたかもしれない。でもあいつはダメだ。小野寺さんが傷つく!」
「私が傷つくなんて勝手に決めないで?私、奏斗のことちゃんと好きだし…」
「好きだから傷つくんだよ」
「え?」
横山くんは何が言いたいの?
好きだから傷つくってどういうこと?
「俺、中学の時付き合ってる彼女がいたんだ。」
そういう横山くんの目は寂しそうだった。
「俺は好きだった。でも、あいつは、千羽が好きだと言った。もう抱き合ったと。千羽は、人の彼女も好きに抱く最低なやつだ!小野寺さんには合わないよ。」
どういうこと?奏斗が横山くんの好きな人を奪ったってこと?
そんなの違う。
「違う!そんなの…奏斗のせいじゃないよ」
「何言ってるんだよあいつのせいだよ」
横山くんはきっとまだその子が好きなんだ。
でも奏斗には個人的な恨みがある。だから私を横取りしようとしてるんだ…。
「その子がどんな気持ちでその言葉を告げたのかそれは私には分からない。でも!その子が好きになって抱かれただけで、奏斗は横山くんの彼女だって知らなかったんじゃないかな?」
「そんなの言い訳だ。」
「横山くんはただ振られたことを受け入れられなくて、奏斗に責任を被せてるだけ!現に、まだその子が好きなんでしょ?」
そう言うと横山くんがビクッと反応した。
「ほんとは、私のこと好きじゃないんだよね?ただ奏斗の彼女だから。でしょ?」
「気づいてたんだね。意外に小野寺さん勘が鋭いんだね。」
そう言って、また悲しそうな顔をする横山くん。
「私、奏斗が好き。だから、奏斗に振られたらって考えると…辛いや」
「それがどうしたんだよ」
「でも私は、好きって気持ち押し殺して自分から逃げてる方がもっと辛い」
「!」
「まだ好きなんだよね、その子が。諦められないのならもう一度体当たりしたらいいじゃん」
恋が難しいことは、奏斗を好きになって気づいた。
でも恋は叶うとほんとに嬉しい。叶わないと悲しいけどまた次!って明るくなれる。
「恋って、好きって、そういうことでしょ?」
そう言って笑うと、横山くんは
「小野寺さんはほんとにいい子だね」
「ごめん、巻き込んで。その通りだよな」
と言った。
「分かってたよ、千羽は悪くないこと。ただ振られた事実を被せてただけだ」
「うん」
「小野寺さんまで巻き込んで。ホントに申し訳ないと思ってる。あいつにも、謝んないとな」
そう言って、悲しそうにまた笑う。
どうしたらその顔は元に戻る?
「もっかい、告白できない…?」
「その子、弥生は、今いないんだ」
「え?」
「去年の夏、交通事故で。弥生の家族の方から連絡が来たんだ。俺たちは幼なじみだっからね」
「そ、そっか…」
じゃあもう叶わない…。
「小野寺さん、ほんとにありがとう」
「え、ううん。大丈夫」
「今日の放課後ここに、千羽を連れてきてくれないかな?」
なんでそう言ったか、私にはすぐ理解出来た。
だから、
「任せて」
私はそういった。
