待ち合わせの空き教室ってここだな。









「奏斗くん、入ろ?」









桃音が心配そうな顔をしている。










ほんとかわいーやつ。










「ん、はいろ」










ガラガラ










「待ってたよ、奏斗、小野寺さん」










そこにいるのはなんにも変わってない、心。










「小野寺さんと付き合ってるんだね」










「まーな、だから、お前の告白には答えられない」









「そう…そうよね。」










心は悲しそうな顔をして下を向いた。










無言が続いてもう帰ろうかと桃音に言おうとした時、









「な、七瀬さん、奏斗くん、ちょっとトイレいってきてもいいかな…?」










と、言った。










「腹痛いの?」









「ううん、大丈夫!すぐ戻るね」










と言って教室を出ていった。











「優しいね、小野寺さんは。」











桃音が出ていった後、心が口を開いた。











「トイレなんて嘘だと思う。2人に、してくれたんだと思う。」











心はそう言って、











「お似合いね」











と笑った。











「私、あなたに謝りたかった。浮気なんてあの時するつもりなくて…ただ、あなたが私を本気で愛していないと思ってたの。お互いに遊びだと…本気で好きだった。でも、相手にされてないなんて思うと辛くて…少しでも必要としてくれる人にすがりたかった…」











「俺は本気だったよ。お前のこと、でも、言葉が足りなかったのかもな」











もともと遊びまくってる人が言葉一つなしに好きってだけで本気と思ってもらえるなんてガキすぎたな。










「あの時、もう少し話を聞けばよかったのかもしれない。悪かったよ」











「もとは私に非があるの。いいの。小野寺さんとお幸せにね。あなたたち、ほんとにお似合いなんだから」












そう言って部屋から出ていった。












最後に、












「桃音ちゃんに、ありがとうって伝えておいて。」











と言って。