足元を数匹のハトが行ったり来たりする公園のベンチに腰かけ、琉海は豚まんを頬張る。

「大冴から琉海ちゃんがまだこの辺にいるはずって連絡が来たからさ」

 大冴と琉海が大阪に来ると知った未來は自分も合流しようと追いかけて来たのだと言う。

「大冴も大人気ないよね。琉海ちゃんのことは気になるけど拗ねちゃってるから僕に頼んできたりしてさ。それにしても大阪久しぶりだなぁ〜」

 未來は首に巻いた薄手のマフラーを緩めた。

 ちょうど太陽は空の1番高いところにあった。

 日の当たるところにいると暖かい。

 もうすぐ春だねと言う未來に琉海は尋ねた。

「どうして嘘ついたの?」

「嘘って?」

「この前あたしと契りを結んだなんて」

「契り?」

 未來は一瞬目を丸くして弾けるように笑った。

 足元のハトが飛び去る。

「契りだって、えらく古風な言い方するんだね。シャワーを一緒に浴びたって言うのは嘘だけど、エッチしちゃったとは言ってないよ。いくら僕でも泥酔した女の子を襲わないさ。それにそれって準強姦罪で捕まるんだよ」

 未來は手錠をかけられる仕草をした。

 準強姦罪。

 琉海の知らない言葉だがとにかく悪いことらしい。

「でも勘違いするような言動だったよ。あたし嫌いそういうの」

「ごめんごめん、僕も酔っ払ってたんだよ」

 未來は今度は拝むような仕草をする。

 未來の言うところによると、ベッドに潜り込むと琉海は自分で勝手に服を脱ぎ、もともといつも裸で寝る未來は自分も服を脱ぎそのまま寝てしまったのだそうだ。

「だから、琉海ちゃんの体は……」

 未來は片目をつぶった。

「ちょっとだけ見た」

「どうだった?あたしなんか変じゃなかった?」

 水に濡れてはないが気を抜いて鱗が現れていたりしなかっただろうか。

 未來はまじまじと琉海の顔を見つめながら自分の顎をさすった。