求婚歌


ちょっと拗ねたひかるをよそに、光君は笑顔で湘南メドレーを歌っていた。

「けいって、どんな字?」

不意に話しかけられ、戸惑った。

『さっきから、そればっか・・』

うんざりしつつ、答えた。

「土が二つの、圭です。」

「ふーーん。」

『ふーーんって、そんだけかい!?』

とは口に出せない私の、ちょっと引きつった口元を見て、結城君は笑った。

「男みてーな名前だな。」

『わかってるよ!!!』

とは口に出さない私の、だいぶ引きつった口元に手を出し、結城君は言った。


「顔は、可愛いーのに。」


そして人差し指で、唇をなぞった。


「可愛いな、お前。」