求婚歌


「あ、その子の名前?」

ひかり君の後ろから、背の高い男の子が顔を出した。

「けいって、どんな字?」


私を見下ろす冷たそうな切れ長の目。


この先、何度も何度も、この日の出会いを思い出すことになるなんて

その時の私は、想像もしなかった―――



「俺は佐藤光。ひかり、でいいよ。」

とりあえずカラオケに落ち着いた私たちは自己紹介をした。

「で、こいつが結城宗太郎。みんな、そうって呼んでる。」

光君が、笑ってひかるに促した。

「えっと、私は高木ひかる。こっちが、草田圭。おなクラなの。」

「よろしく」

笑顔で光君が手を出してきた。

「ひかるに三年前振られた、光です。」

「ええぇぇえ!」

「ちょっと、何言うのよ!」

光君は笑って手を引っ込めて、言った。


「そして未だに片思いしてる光です。」