求婚歌


「それで、また別れた訳ね。」

「別れたってゆーか、別れるってゆーか・・」

「どっちにしろ、もう圭の心は終了してるんでしょーが。」

呆れたように、ひかるが言った。

そんな顔も、綺麗だと思う。

まだ14歳の私が、『可愛い』じゃなく『綺麗』だと思った初めての女の子。

-ひかる-名前のとおり、光り輝いてみえる。


「そんなひかるこそ、どうなのよ。」

話を逸らしたくて、唐突に聞いた。

「私は圭と違って、ちゃんと好きになってから恋をするもん。」

「ちゃんとって、私だってちゃんと恋をしてるよ。」

「あのねぇー・・」

ひかるは呆れた表情と共に、ため息をついた。


「圭のは、恋じゃないの。恋愛ごっこみたいなもんなの。
 
 本当に好きだったら、キス以上を求められて冷めないよ。

 むしろ、触れて欲しいと思うくらい。」


それから私の鼻に指を指し、うっすら笑ってこう言った。



「予言してあげる。触れただけで泣きたくなる日がくるよ。」