カフェで珈琲を二人で飲みながら、他愛もない話をして、気がつけば暮れなずむ空がみえた。

「もうこんな時間か…そろそろ行かなきゃ。」

『そうだね、私もそろそろ帰るよ。』

彼はおもむろにスマホを取り出してみつめる。

「あのさ、アドレス教えたいんだけど、いい?夏休みになったらまたこっち行くから、その時また会えたらいいなって思って!」

『うん、いいよ!』

この日から私たちは遠く離れていても、スマホでやりとりをするようになった。


そして、その時はじめてお互いの名前を知ったのだ。

[海斗くん、今日はありがとう。夏休みになったら絶対に会おうね!]

受験生になり、憂鬱だった夏休みも一息できそうだ。
それまでにできることはやっておかないと。

そう思ってわくわくしながら自宅に帰り机に向かった。