今が思い出にならないために。

私は、彼の口から津久見と、確かに聞こえたことにびくり、と驚いた。

『津久見、くん?』

汗ばんだ掌をぎゅっ、と握りながら、私はその名前を言った。

「津久見くんは僕の友達でした。…亡くなったんですけど。何事にも真っ直ぐで、何でも筋道立てて考えて、その通りにこなしてて、すごいなー、って。」

彼は潤んだ瞳でふわり、と力なく笑う。
次第に伏していく長い睫毛が、濡れたように光った。


「…彼の苦しんでる姿を初めてみて、そして彼がここに来れなくなって…その時決意しました。僕が彼の引き継いで絶対、ゴールさせようって思ってます。」

そう言った彼は出会って一番力強く、真っ直ぐだった。


私の時間軸では彼と再開を果たすことより前に、彼の死を耳にしている。
当然だが、死んだ人間は生き返らないから、彼の名前を皆の前で出すことをタブーとしなければならない何かがあったから、と察したのに、再び彼の死を示すワードが耳に入るとは…。


私は、それは一体どういうことなんだろう…
次、津久見くんに会ったときに私は、どう接すればいいのだろう…と思考をループさせた。