「あぁぁぁぁぁあ進路どうしよう!!!」
カフェに今にも泣き出しそうな声が響き渡った。
高校3年になったばかりの春。
私、杉本愛海は学校近くのカフェで彼氏である神崎翔太と大学のパンフレットを眺めている。
ちなみにさっき大声を出していたのは、私たちの向かい側の席でダルそうに座っている親友の中西萌恵。
そんな萌恵の隣で勉強に飽きてノートに落書きをしているのが、萌恵の彼氏の菅谷勇人。
私たち4人は小学校からずっと同じクラスで、今でも仲が良い。幼馴染みというやつだ。
「お前はこのカフェでも継ぎなよ」
勇人がシャーペンを回しながら意地悪そうな顔で言う。
「何それ地味じゃん!」
萌恵は頭を抱えながら否定する。
そう、このカフェは萌恵のお父さんが経営しているのだ。