「あ、来た来た。ゆうくん、こっち」
野田さんの元に行くと、野田さんは誰かを手招きして呼んだ。
現れたのは、私と同い年くらいの男の子。
「ゆうくん、この子、4年生の明花ちゃん。
はるちゃん、この子、5年生の優也くん」
野田さんによると、『ゆうくん』は私と同じように、入院しながら学校に通うらしい。
年が近い子がいないから、紹介してくれたんだと思う。
だけど、私は人見知りだし、話せないよ。
「病室も近いし、仲良くなれるといいね」
ゆうくんが病室に入ってから、野田さんがそう言って微笑んだ。
でも、私は黙って俯くだけ。
野田さんの気持ちは嬉しいけど、それよりも私は家に帰りたい。
今年の夏休みは家に帰れるかな。
去年は少し帰れたけど、今年は去年よりも調子が悪い。
嫌だなぁ、私も病気じゃなければ元気な小学生なのに。