ゆっくり話せるところって聞いたけど、密室はやばい。
そこに壱哉がいると言われても信用できないし、と引き返そうとする私をゆっこちゃんはすごい力で掴み、半地下になっているカラオケボックスの中へと引っ張って行く。
「いや、離して!」
「うるさい、今更騒いだって無駄だから」
「ちょっと、誰か、たすけ……」
お腹に強い衝撃を受けた。
そして、くの字になった体をゆっこちゃんではない他の人に抱えられ、薄暗い部屋の中へと放り込まれる。
何が起こったのか、私はどうなってしまったのか。
考える余裕もなくソファの上に寝かされ、気が付くと3人の男の人に取り囲まれていた。
「へぇ、可愛いじゃん」
なんなの、誰……。
大柄な男に息を吹きかけられ、ぞっとする。
「怖がってる顔もそそられるよなぁ」
「あ、先に手を出すなよ。俺からだろ」
「じゃんけんて決めようぜ、へへへ」
不愉快極まりない笑い方をする男たちは、頭も下半身も下品で近寄られるだけで全身に鳥肌が立つ。
何のじゃんけんか、なんて聞くまでもなく。
「卑怯者!」
ありったけの嫌悪感を込めて、ゆっこちゃんを睨んだ。



