「ただ、    」



ラインの既読は、なかなかつかなかった。

途中で寝ちゃったのかもしれない、朝には返事がきてるだろう。

目を閉じると、今日起こった色んなことが浮かんできて、小さな子供みたいに足をばたつかせてはドキドキ高鳴る胸を押さえ、そうしているうちに眠りに落ちた。






壱哉とデートをしていた私は幸せいっぱいで歩いていたけど、突然、地面が割れて道がふたつに別れた。

強く握っていたはずの手が離れ、どんどん遠くなって、声を掛けても届かなくて、気が付くと暗闇の中。誰かの嘲笑う声が聞こえる。


――嫌だ、離れないで

――ダメなんだ、ごめんな




「壱哉!」


あ、あれ? 夢?

なんだぁーもう、びっくりした。

息苦しさを感じて首に手を当てると、汗でじっとりとした自分の髪が巻き付いている。どんだけ寝返りをしたんだって、くらい。

それにしても、不吉な夢だったなぁ。

なんとなくそのまま目を閉じる気になれなくて、枕元に置いてあるスマホを見たら、壱哉からのラインが届いてた。

笑ってるウサギのスタンプ1個だけだけど。

それでも嬉しい。




私たちが離れ離れになるなんて、そんなのないよね。