なんとも、バラエティー豊富な。

でも、良かった、みんなに可愛がってもらってるんだ。それなら、壱哉も安心してバイトに打ち込めるね。アパート全体で見守って貰えるっていいな。

通された部屋は、お世辞にも綺麗とは言えなくて、歩くたびに床が軋む音がする。

壱哉は「ボロすぎて引くだろ」って自嘲気味に言うけど、私にはこの部屋がとても居心地がよく安らぎの里のような温もりを感じた。

寒すぎる我が家とは大違いだ。


「荷物取ったらすぐ戻るけど、美波はどうする?」

「私も行くよ」

「門限はいいのか」

「多分、大丈夫」

「そんなこと言って、最近、破り過ぎだろ」


そういや、昨日もカラオケに行って帰るのが遅かったんだ。

門限破りの味を占めてしまえば罪悪感など簡単に失せるし、家族の誰も私の非行に気を留めようとしない。せいぜい、使用人が慌てる程度だ。

別に構ってほしくてしてるわけじゃないけど、ここの人たちとは雲泥の違いだなと思うと悲しくなってきて、しゅんとした私を。

壱哉は別の意味で受け取ったみたいだ。


「ごめんな、昨日は俺のせいだな」

「壱哉のせいじゃないよ」

「いや、この際だからはっきり言うよ。ゆっことは、昔付き合ってたんだ」