私は知り合いであることから、救急車に同乗し、この辺りで1番大きな総合病院まで付き添うことになった。

ただ、壱哉とは一向に連絡が付かなくて。

朝にあれだけ強く言ってしまったので、今更、私からの電話なんて取りたくないだろうけど、せめてメールくらいは読んでほしい。

なかなか既読にならないラインに溜息をつきながら、恭哉くんが寝かされている処置室に戻ると、点滴に繋がれた彼が体を起こそうとしているところだった。


「だめだよ、安静にしてないと」

「あ、のぉ……」

「少し具合がよくなったみたいだね、良かった。私は君のお兄ちゃんの友達だよ」

「兄ちゃんの」

「うん。恭哉くんはお兄ちゃんに会うために学校まで来たんだね、ごめんね、朝は来てたんだけど、帰っちゃったんだ」


私と喧嘩したせいだよなぁ。

そう思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

立ったままだと話しにくそうだったので、ベッド脇にある椅子に腰を下ろした。

シーツの端を掴む手が、少し震えている。

小学4年生だったかな、まだこんなに小さいのに、1人道で倒れて怖かっただろうな。


「メールしたから、もうすぐ来てくれると思うよ」

「……はい」


不安そうな声。


「どうしたの?」

「また、兄ちゃんに迷惑かけちゃった」