どうして、こんなところに小学生がいるの?

誰かを待っているのかな。

気にはなるけど普段からできるだけ知らない人には声を掛けないように言われてるため、様子を窺うだけにする。

だけど、その子が胸の辺りを抑えていることに気が付いた瞬間、体が勝手に動いた。


「どうしたの? 胸が痛い?」

「う、ん、僕……」

「誰か待ってるの? 名前は?」

「こみ……、きょう…」


あぁ、どうしよう、本当に苦しそう。

男の子が背負っていた青いランドセルをおろしてあげると、背中にびっしょり汗をかいており、もしやと思い顔を触ると、そこも汗でいっぱいになっていた。

顔色も悪いんじゃないかな、こんな時くらいちゃんと見えたらいいのに!

なんて嘆いたところでどうにかなるわけでもなく、助けを呼ぼうとスマホを手に取ったところで、博貴が来てくれた。


「どうした」

「この子、具合が悪そうなの」

「真っ青じゃねぇーか、おい、大丈夫か、しっかりしろ」


男の子の頬をぺちぺちと叩きながら、呼びかける。

しばらくそうやって反応を待っていたが、ダメだと判断した博貴は、突っ立ったままの私に指示を飛ばした。


「美波、救急車を呼べ!」

「う、うん」