「そーんなに、好きなんだ。壱哉のこと」
曲と曲の間、からかうような口調でサリーちゃんが言う。
その声があまりに大きくて、各々喋っていた男性陣も、おお? って感じのリアクションで、こちらに注目する。途端、顔が熱くなった。
「やめてよ、違うし」
恥ずかしいし、照れくさいし。
ついつい素っ気ない答え方をしてしまった私に、サリーちゃんは容赦しないといった感じでさらに追及してくる。
「じゃぁ、どうしてそんなに怒ってるわけ?」
「どうして、って」
「自分以外の女の子と仲良くしてるのを見て、むかついたんでしょ。それって、どうしてなのか分からない?」
「うん……」
「やきもちだよ、美波ちゃんはやきもち妬いたんだよ」
*
「ちょっと美波、いつまでお風呂に入ってるの? 私も入りたいんだから出てよ」
「待って、まだ髪が、」
「そんなの部屋で乾かせばいいじゃない、早くしないと大貴が迎えに来ちゃう」
「あっ、もうー」
本当、お姉ちゃんは我儘なんだから。
今、私が使ってるバスルームを使わなくても、他の階にもあるんだし、そっちに行けばいいのに。
何かっていうと、こうやっていつも邪魔される。



