「さて、そろそろ出るかー」

「なぁ、この後カラオケ行かない?」

「たっつんは、ほんっとカラオケ好きだな。音痴のくせに」

「はぁ? 言っとくけど、俺が本気出したらやべぇからな。お前ら明日から何も聞こえなくなるくらいだからな。耳キーンだからな」

「鼓膜やられてるじゃねぇーか、ジャイアンリサイタルかよ」


満場一致でサリーちゃんたちは、カラオケに行くことになり、私も誘われたけど門限があることを理由に断った。

今時、門限が9時とか、お嬢様なのって。

壱哉と同じ反応をする。

そんなに変かなぁ?


「やっと、お前ら帰るか」

「おーおー、こんな愛想の悪い店員のいる店なんか2度と来るか」

「どうせ明日も来るんだろ」

「あとでシフト教えてね」


女の子みたいな可愛い声を出した空くんが、壱哉の肩を軽く叩き。

じゃぁ行こうかと私たちに手で合図する。

出口に向かってぞろぞろと歩きだしたところで、ちょっと待って、と壱哉に呼び止められた。


「美波もカラオケ行くの?」

「私は行かない」

「じゃぁ、待ってて。もうすぐバイトあがるし、送ってく」


近くにいたサリーちゃんが、わぁーお!と嬉しそうな声を上げた。

たっつんも、「なんだーお前ら良い感じなのかー」って囃し立て始め、気恥ずかしい思いになったところで空くんが「はいはい行くよー」とみんなを引っ張っていってくれた。