サリーちゃん曰く、窓際の席の子は、ゆっこちゃんといい、私と同じ17歳。
壱哉のことが好きで、彼のバイト先に頻繁に出没する自称彼女らしい。
それってストーカーなんじゃないの? って聞くと、壱哉自身それほど嫌がっておらず、たまに2人で会ったりしてるから一方的ってわけでもないらしい。
ただ、付き合ってるのかと聞くと、否定するから彼女ではなくて。
よく分からない関係なんだとか。
ふぅーん、”そういう”子いたんだ。
「あの子、可愛い?」
「なになにー、気になるの?」
「別にそんなんじゃないけど」
「照れない照れない。そうだなぁ、可愛い方だとは思うけど、美波ちゃんの方が美人だよ。てか前から思ってたけど、芸能人になれそうだよね。スカウトとかされるでしょ」
「そんなのされたことないよ」
そもそもスカウトされるような所に1人で行かないし。
「またまたぁ」と怪しんでるような声を出し、私の脇腹あたりを突くサリーちゃんから身を仰け反りながら、窓際に視線を戻すと。
ゆっこちゃんがじゃれつくように壱哉の腕に自分の手を絡めているのが見えた。
表情が見えないから分からないけど、サリーちゃんの言う通り、それほど嫌がっている感じがしない。
胸の辺りが、ざわざわした。



