ライブハウスには色んな年齢層の人たちが出入りしているけど、その中でもサリーちゃんたちは壱哉と歳が近くフランクな付き合いをしているらしい。
壱哉もメンバーみたいなもんだよって。
彼は否定しているらしいけど、同じ夢や趣味をもった仲間がいるのは、羨ましい。
「祐介は、どんなジャンルが好き?」
「基本ロックだけど、最近はR&Bも好きかな」
「あ、私、Ne-Yoとか好きだよ」
「まじ? いいよな。俺も好き」
「あとはねぇー、ホセ・ジェイムズとか、アッシャーとか」
ううう、何を言ってるのか全然分からない。
サリーちゃんたちの会話は当然といって音楽の話ばかりで、Jポップしか興味のない私にはついていけそうにない。
でも、全然つまらないとかじゃなく。
彼女たちの話に耳を傾けながら、何となしに他のテーブルを見ていると、窓際の席でひとり座っている女の子が気になった。
身体つきからいって、多分、私とそう変わらない歳の子。
その子はひとりでいるのに、何をするわけでもなく、ずっと顔をあげている。
「美波ちゃん、どうかした?」
「え、あ、ううん」
サリーちゃんの問いかけに首を振ったけど、彼女は私が見ていた窓際の席の方に顔を向けて「あぁ……」と小さく唸るような声を出した。
「また来てんだ」
「知り合い?」
「うーん知り合いっていうか、壱哉のね。熱心なファンだよ」
「ファン?」



