「いえーい、美波ちゃん飲んでる?」
「飲んでるよ、ウーロン茶をね……」
「あーあ、バンドの歓迎会といえば居酒屋だよねぇ、なんでこんなファミレス」
「仕方ないじゃん、俺以外みんな未成年なんだし」
意外と真面目なんだなぁ。
サリーちゃんの嘆きに答えた空くんは、その名前に似合う鮮やかな青い髪色で、すぐに覚えることができそう。
他にもたっつんはロン毛で、祐介くんは赤い髪をツンツンに立てている。
学校のみんなは似たり寄ったりで見分けがつかないけど、サリーちゃんの周りにいる子は個性的で分かりやすい。
そんなメンツになぜ、私が呼ばれたかというと、
「悪かったな、こんなファミレスで」
「うお、壱哉! 聞いてたの」
「聞いてたも何も、そんな大声で喋ってたら聞こえるっつーの」
「店員さん、ポテトフライ追加で」
これといって理由はない。
たまたま壱哉と一緒にいるときに、たまたまサリーちゃんから壱哉がバイトしてるファミレスで歓迎会をすると連絡があって、ついでのように誘われただけ。
それでも、ライブハウス以外に壱哉がバイトしている店を知れて、ボーイさん風の制服を着た彼を見ることができて、ラッキーだ。
「つーか、お前らドリンクバーとポテトフライだけで長時間居座るなよ」
「いいじゃん、ケチ」
「むしろ、店員さんからの差し入れ希望」
「からあげ希望」
「うっせー、締め出すぞ」
仲良いなぁ。



