恋をして、心を揺さぶられて、変化を生む、か。
先生の言っていたことは、理解できる。でも、じゃぁ、今まで大貴くんに抱いていた気持ちは、何だったのだろう? 恋じゃなかったの?
「美波、お腹空いてない? なんか食べて帰ろうか」
「いいの?」
「未来のお兄さんに甘えなさい」
「わーい、じゃぁ、お寿司!」
大貴くんは優しい。一緒にいて安心する。
何でも話せるし、我儘も聞いてくれる。病院もよく付き合ってくれる。
「車道側は危ないから、こっちにおいで」
ささいな気遣いが嬉しいし、手が触れたらドキドキする。
お姉ちゃんの彼氏だってわかっていても、私のこと好きになってくれないかなぁーて期待しちゃうし、傍にいるだけで幸せだと思う。
この気持ちは――。
*
「新メンバー加入を記念して、カンパ―イ!!」
「乾杯ー!」
金曜日のある日、私はサリーちゃんらと一緒に某ファミレスに来ていた。
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ら というのは、サリーちゃんが所属するバンドのメンバーで、先日新しいヴォーカルが加入した歓迎会をするから是非にと誘ってもらったのだ。
ちなみに、サリーちゃんがベースで、ギターは空くん20歳、ドラムはたっつん19歳、そして新たなヴォーカル、祐介くん18歳というメンバーだ。



