恋をして、心を揺さぶられて、変化を生む、か。

先生の言っていたことは、理解できる。でも、じゃぁ、今まで大貴くんに抱いていた気持ちは、何だったのだろう? 恋じゃなかったの?


「美波、お腹空いてない? なんか食べて帰ろうか」

「いいの?」

「未来のお兄さんに甘えなさい」

「わーい、じゃぁ、お寿司!」


大貴くんは優しい。一緒にいて安心する。

何でも話せるし、我儘も聞いてくれる。病院もよく付き合ってくれる。


「車道側は危ないから、こっちにおいで」


ささいな気遣いが嬉しいし、手が触れたらドキドキする。

お姉ちゃんの彼氏だってわかっていても、私のこと好きになってくれないかなぁーて期待しちゃうし、傍にいるだけで幸せだと思う。

この気持ちは――。






「新メンバー加入を記念して、カンパ―イ!!」

「乾杯ー!」


金曜日のある日、私はサリーちゃんらと一緒に某ファミレスに来ていた。

ら というのは、サリーちゃんが所属するバンドのメンバーで、先日新しいヴォーカルが加入した歓迎会をするから是非にと誘ってもらったのだ。

ちなみに、サリーちゃんがベースで、ギターは空くん20歳、ドラムはたっつん19歳、そして新たなヴォーカル、祐介くん18歳というメンバーだ。