「ただ、    」



バスケの試合は、一回戦であっさり負けた。

まぁそれほど期待されていたわけではないし、私たちのモチベーションも高くなかったので、悔しがることなく、「お疲れー」と解散。

自分の種目が終わってしまえば、あとは他の人を応援するだけだ。

志穂ちゃんは引き続き体育館に残ると言ったので、私は気分転換も兼ねて外に行くことにした。というのは嘘で、そろそろキックベースの試合が始まるからだ。


「(お、やってるやってる)」


運動場を半分にわけて校舎側にサッカーを、その奥側のスペースでキックベースが行われていた。生徒のほとんどは男子のようだ。

中でもサッカーは人気の子が多く出ているようで、女子の黄色い声援が聞こえている。

みんな元気だなぁ。

両手を振りながらぴょんぴょん飛び跳ねる女の子たちを若干羨ましく思いながら、運動場の奥へと行くため中庭を横切ろうと足を踏み入れた先。

堂々と昼寝をしている人物を見つけた。

長身細身の黒い髪、ぴょこんとハネてる寝ぐせに見覚えがある。

何より、ゼッケンに書かれてある名前が、


「壱哉……?」

「んー、なんだあんたか」

「こんなところで、何してるの」

「見りゃ分かるだろ」


あ、寝返りをして背中を向けたな。