「美波お姉ちゃんだー!」
「具合はどう? プリン買ってきたからあとで一緒に食べよ」
「わーい」
期末テスト2日目。
午前の3教科だけで試験が終わった私は、壱哉のアパートに訪れていた。
選択科目の関係で午後も試験が残っている壱哉の代わりに、恭哉くんのお昼ご飯を作りに来たのだ。って、実はかなり強引に押し切って来たのだけど。
こういうのって、彼女っぽくてにやにやしてしまう。
「恭哉くん、お昼ご飯チャーハンでもいいかな」
「うん! チャーハン、大好き」
「ほんと? 良かった。すぐ作るから待っててね」
ええーと、冷やごはんはあるでしょ、卵も、玉ねぎもある!
これに買ってきたベーコンと人参を入れて、ネギも混ぜれば完璧だよね。
まずは野菜を切って、っと。
「ちょっと待った! 美波お姉ちゃん、これ何?」
「何って玉ねぎだよ。コレ、皮が多いね」
「そこは皮じゃないよ、食べれるところだよ! あと、切り方!」
「え、ひと口大だよ」
「チャーハン作るなら、みじん切りにしなきゃ」
「……みじん切りって何?」
料理は愛情だと言うけども、愛情だけでは美味しくならないそうです、ね。
彼氏の家で手料理を作るってのに憧れがあって意気揚々と始めたはいいけど、作り方はおろか野菜の切り方まで分からないなんて……まずはスキルを磨くべきでした。



