「ただ、    」



私と、お姉ちゃんと、大貴くん。

あと大貴くんの弟の博貴(ひろき)は、親同士が知り合いで、物心がつく前から一緒に育った。

私は大貴くんを本当のお兄ちゃんだと思っていたし、博貴と喧嘩するたび、味方になってくれるのはお姉ちゃんではなく、大貴くんだった。

大貴くんが大好きだった。

大貴くんも私が好きなんだと思っていた。

お姉ちゃんと大貴くんが付き合っていると知ったのは、中学生に上がる頃。

ふたりが今の私と同じ歳の頃だ。

それから4年、ふたりは順調に交際を続け、来春には婚約するらしい。


「大貴くんって、私の家庭教師と言いながら、実はお姉ちゃんに会いに来てるんでしょ」

「ばか、違うよ」

「どうだか」

「生意気なやつめ、くすぐりの刑にしようか」

「やだ、やめてー!」


慌てて椅子から立ち上がった私を、捕まえようと両手を広げた大貴くんによって、逃げ場を失いベッドにダイブする。

いくら何でもここには上がってこないでしょ?

という私の予測に反して、いともあっさりベッドの上に乗ってきた大貴くんはプロレスの技を掛けながら、「真面目な話、」と切り出した。

身体が密着してドキドキするのは私だけで、向こうは相変わらず妹扱いか。


「あんまりおじさんに心配をかけるなよ」

「分かったから、離して」

「分かってないだろ。この間も、習い事の帰りに逃げ出したって聞いたぞ」

「あれは、」