「賢也、帰るぞ?」
奏汰が賢也を起こして、みんなで一緒に歩いて帰る。
私と希がスタスタ歩く後ろから、男3人がついてくる。
いつも他愛のない話して、笑い合うこの時間が一日の中で私が一番好きな時間。
そして、いつもと同じ場所で、バイバイして、
希と奏汰と賢也は右、
綾瀬と私は真っ直ぐ歩き出す。
いつもふたりきりになれるこの時間も、私は大好きだった。
まぁ、結局一緒に帰ってても言い合いになっちゃうんだけど…
でも私は、何となくこの時間が終わるのが寂しくて、さっきまで綾瀬の前にいたくせに、
歩くスピードをぐっと下げて、いつも綾瀬の後ろに回る。
今日もスクールバックを肩に担いで、
少し前を歩く綾瀬に見とれてる私。
中学生の頃はまだそんなに身長差は無かったはずなのに、今では20cmぐらい差がついた。
スラッと長身の綾瀬は中学時代よりもさらにカッコいい。
触れられそうで触れられない。
そんな彼の左手を、私がいつも切ない気持ちで見ていることを、
綾瀬は絶対に知らない。
今日もぼんやり眺めてると突然、
「お前の分かんない問題どれ?」
なんて声をかけられた。


