ずうずうしく、佳織は2階へあがっていく。
あたしもその後を歩いていく。

飯島尚樹の部屋のドアを開いた。

「どうも!」

佳織が威勢良くいうと、飯島は椅子に腰掛けたまま首だけこっちにひねった。

「・・・どうも。何の用?」

「なんで登校拒否してるのか聞きにきたの!」

堂々と言い張る佳織を見て、飯島は呆れた顔をした。

「君はこの前からずいぶん非常識な人間だな。・・・別に登校拒否などに理由はない。行く必要がない。と思ったから行かないだけだ。」

「へぇー。てかさ、なんで・・・」

佳織は適当に返すと、その後も質問攻めにした。確かにかなりの非常識人だ。

「あと、あの封筒・・・」

♪~♪~♪

佳織の携帯から着信音が鳴り響いた。

「もしもし?あ、エミ?・・・うん、そう。・・・え!?嘘!」

なにやら、重大な問題か何かが起こったらしく、大声をあげて電話している。
「分かった!今から行く!!!」と言うと、携帯をきった。

「ごめん!急用ができた!また来るね!ばいばい!」

まるで嵐のように、一方的に乗り込んで話して走って飯島家をでていった。

取り残されたあたしは、佳織の勢いにおされて、何も喋れずその場に立っていた。


「・・・君も、特に用はないんだろう?だったら帰ってくれ」

「あ、うん。どうも失礼しました」
そう言ってドアに向き直ると、突然すごい勢いでドアがひらいた。
額に思いっきりドアがぶつかる。

「いったーー!!」

あまりの痛みで目に涙が浮かんだ。