莫大な量の宿題に苛立って生活しているうちに、あっという間に佳織との約束の日がきた。
今日は、ずっと前から約束していた映画にいく予定だった。


時刻は10時15分。


「ごめんっ!待った?・・・よね」

「いえいえ。いつものことですから~」

大体遅刻する佳織にはもう慣れていたから、さらっと流してすぐに映画館に向かった。



映画はとても泣ける話で、ただでさえ涙腺のゆるいあたしはボロボロに泣いてしまった。



「シホ泣きすぎっ」
佳織が笑いながら、あたしに鏡を手渡した。

「だってさぁ~、もう・・・あのシーンなんて・・・」

心を落ち着けて、目の赤みがひいた後は、となりの大型ショッピングモールで買い物をした。

「ねぇ!これ超かわいくない!?」
佳織があたしを呼び止めた。目線の先にはたくさんのピアスが並んでいる。

「えー?どれー?」

佳織が指差したピアスは、確かにすごく可愛かった。


「ねぇ、ピアス落ちてたっていったじゃん?」

「え?うん。帰り道辿ったら見つかった」

「飯島尚樹の家じゃなかったんだ。」

飯島?誰だっけ・・・

「誰だっけ・・・飯島って」

佳織は目を大きくあけてまばたきした。

「本気で言ってる?ついこないだのことじゃん!」