『美里のことばかりじゃなくて……まずは灯里。あなたが学生生活を、普通に楽しんでちょうだいね。約束よ。』
お母さんに、言われた言葉。
横目で見える、会場内の賑わい。
この中に、きっと、お姉ちゃんが見てきた景色があるのかも。
もしかしたら、“あの人”も…いるのかな?
緊張しながらも、遠くから会場内を見渡し、いろんな看板や案内に目を向ける。
……と。
「灯里ちゃん、だよね?」
全く気付かないうちに側に来ていた人物がいると分かり、急いで振り向いた。
その人は、
とても綺麗な栗色の髪を、くるくるのツインテールにした、まるでアイドルのような見た目の女の子で。
「だ、……誰ですか?」
警戒して固まってしまう私を、ふっと優しく笑って見つめる薄茶色の瞳、そして整った顔立ちに、思わずドギマギする。

