【朱雀高等学校】
大きな桜の木、そして門の前にあるその文字……。
朱色のレトロな校舎と、私立ならではの高級感。
大きくそびえ立つその景色を前に、自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
「久しぶり、だね……」
最後にこの景色を見たのは、12月の試験の日だった。
さらにその前にも、私はここを何度か訪れたことがある。
お姉ちゃんがいた時も。
お姉ちゃんが……いなくなってしまったと分かった時も。
……ねぇ、お姉ちゃん。
私、お姉ちゃんと同じ制服を着て今、ここに立ってる。
「必ず……証明するからね。」
ぽつり、と呟いた声は、周りではしゃぐ同じ新品の制服を着た新入生たちの声にかき消された…。

