「どうして自殺するほど追い込まれてることに気付いてあげられなかったのかしらね…。」
ふと、お母さんが呟いて思考は現実に戻される。
「……、そうだね。」
トーストをかじりながら、遺影のお姉ちゃんに視線を移した。
「原因は、いじめでも進路に対する悩みでもないって……、だとしたら、やっぱり家に何か原因が……」
「それは違うよ!……絶対、違う。」
お母さんの言葉を遮った私の声は、思ったよりも強くなった。
急いでヨーグルトを食べて、席を立つ。
口の中に広がる甘い蜂蜜の味。
「お姉ちゃんは、……家も学校も大好きだったから……。」
私は、お姉ちゃんが自殺によって死んだなんて……やっぱり思えないんだ。

