お姉ちゃんは、綺麗で優しくてどこに行っても人気者だった。
でも、半年前。
突然帰らぬ人になった。
あの日のことはまだ……昨日のことみたいに覚えている。
家の中で鳴り響く電話。
お母さんが呆然と立ち尽くす姿。
仕事を抜け出して帰ってくるお父さん。
私は家を飛び出して……
お姉ちゃんの通っている高校に走った。
それは土砂降りで、灰色の空が広がる夕方のことだった。
頭の中でループする電話越しの学校の先生の声。
〝春原(すのはら)さんのお宅でしょうか?〟
〝美里さんが……〟
〝……息をしていなくてーーー………〟

