ジャケットのボタンを留めてから、部屋を出て階段を下りる。
「おはよう。起きてるよ。」
「あら、おはよう!やっぱりよく似合ってるわ。」
お母さんはふふっと笑いながら、リビングルームに戻っていく。
私も続いて入っていくと、テーブルには既に朝食が並んでいた。
サラダ、トースト、スープ、そして我が家の朝には欠かせない蜂蜜入りのヨーグルト。
「それ、灯里のだからね。」
「ありがとう。」
椅子に着いて食事を始める前に、壁側にある仏壇に向かった。
そこには写真があって、その中には制服姿の、にっこりと微笑む女性(ひと)がいる。
「おはよう、……お姉ちゃん。」
その遺影の前で、手を合わせた。
「制服(それ)着てると、まるで美里と瓜二つね。」
台所からお母さんの声が聞こえて振り向く。
「……本当に良かったの?第一志望じゃないのに。」
お母さんは複雑そうな表情でこちらを見ていた。
「もう決めたことだもん。後悔してないよ。」
お母さんの言葉に答えながら、椅子に座って小さくいただきます、と手を合わせる。

