「美味しいですね」
素直な感想が飛び出た。
「でしょ?気に入ってんだここ」
そう言って先輩も夢中になってケーキを食べる。
そういえば気になっていたことがある。

「あの、どうして今日は私を誘ってくれたんですか?」
「ん?特に理由はないよ。侑子ちゃんのこともっと知りたいなぁ~って思っただけ!」
まさかオッケー貰えるとは思わなかったけど、と先輩は微笑む。
そうなのだ。なぜ私は今日先輩とカフェに来ているのか。
普段の私なら即答で断るはずなのに。
それに私のことを知りたい?こんな私のことを知ってなにが面白いんだろう。

「それなら何かお話ししましょうか?」
「おお!聞かせてよっ!」

それから私たちは色んなことを話した。
趣味、友人のこと、家族のこと、そして受験に失敗したこと。
先輩はその全てを丁寧に一言ずつ聞いてくれた。

「あの、今日はありがとうございました。それにお金まで」
「いいのいいの!俺も楽しかったし」
「でもせめてコーヒー代くらいは...」
「それならさ、一つお願いがあるんだけど」
ここまで話を聞いてもらって、ケーキとコーヒーまでご馳走になったのだ。
お願いの一つくらいは。
「なんでしょうか?」

「俺とさ、付き合ってくれない??」