車を降りるとそこには

ざっと50人ぐらいだろうか、

ごついネックレスやピアスをつけ、

全身黒のスーツをまとった

柄の悪い男の人たちが右と左に一斉に並ぶ。

「「・・・お疲れ様です!組長!」」

「「お怪我の方大丈夫ですか!組長!」」

と、声が飛び交う。

ヤクザさながらの光景に私は少し後退りをする。

すると、車から降りた響也さんの大きな手が

私の腰を優しく包む。

「・・・大丈夫か?」

「・・・怖い。」

私は素直な感想をぶつけた。

「・・・組長にタメ口?」

1人の厳ついお兄さんがぼそっと呟く。

その声を聞いた竜騎くんが叫ぶ。

「・・・はーい、お兄さんスマイルスマイル。

女の子が怖がってるからねー。」

「・・・へ、へい。竜騎さん。」

すると、彼からさっきまでの表情は消え、

目がなくなるくらいの笑顔を私に向ける。

・・・逆に怖い。

そんなことを思っていると、

響也さんの手が私の腰から肩へと移動する。

そして、黒いスーツの彼らに告げる。

「・・・こいつは俺の命の恩人だ。


こいつに危害を加えるようなことをした奴は

全員クビを切る。」

響也さんは低い声でそう告げる。

・・・彼の真剣な横顔に私は少しだけ心を奪われた。

「「・・・へ、へい!」 」

男性50人分の野太い返事が響き渡った。