肝試しの夜から

「俺はネタにされてイジられるとか冷やかされるとかは嫌だ。だけどお前の言うとおり嫌なら断ればいい。だけどそうしなかったのはきっとお前となら一緒にいてもいいと思ったからかもしれない」

 今の俺の素直気持ちを言った。園田の方へチラッと視線を向けると顔が赤い気がするのは気のせいだろうか。

「大丈夫か?」
「え?あっ、だ、大丈夫です!」
「体調とか悪かったら無理するなよ」
「はい……」

 なんか別の意味で気まずくなった気がするな。
 それにしてもこんな事言うなんて俺じゃないみたいだ。少し恥ずかしい。
 別に園田の事が好きだというわけではない。顔と名前だけ知っていてちゃんと知り合ったのは昨日が初めてだ。そう簡単に好きになるわけがない。
 
 俺はしっかりと考え一つの答えにたどり着いた。これが正しいかはどうかわからない。だが今言うしかない。

「なぁ園田。俺と友達にならないか」
「えっ」
「友達なら、一緒にいてもおかしくないだろ。会話したり色々。友達になってお互いの事知って。もしかしたら関係が変わるかもしれないし、変わらないかもしれない」
「…………」
「スマン、何言ってるか自分でもよくわからなくなって……」

 園田は俺の事をじっと見て口を開いた。

「いえ、そうですね。まずは友達からですね」

 園田は俺の手を取って言った。昨日と同じ笑顔で。

「私も……私と友達になってください」
「こちらこそ、よろしく」

 こうして俺、馬野昌二と園田由芽は友達になった。なんか清々しい気持ちだった。

「ではさっそく、修学旅行明けに遊びに行きましょう!」
「いきなりだな」
「私、とても馬野君と遊びたくて仕方がないんです!」
「そうだな。俺も園田と遊ぶのは楽しみだよ」

 友人となった俺たちの初めての夏休みはこれから始まる。